登録有形文化財 島薗邸

 脚気とビタミン不足との関係を発見した東大医学部教授島薗順次郎氏の長男、島薗順雄
(のりお)氏が結婚を機に昭和7年に建てた家。
 設計者は銀行建築などで知られる矢部又吉。矢部はドイツに留学の経験があり、建物にはド
イツ風の意匠が随所にみられます。当初、洋館部分は陸屋根の平屋でしたが、昭和16年に2
階が増築されて現在の姿になりました。
 島薗順雄氏の未亡人が亡くなられたあと、相続された島薗久子さんらが、思い出深い家を保
存、活用したいと、たてもの応援団にお声をかけてくださったのがご縁で、調査をさせていただ
きました。島薗家には図面、確認申請、矢部又吉の手紙、家具備品のカタログなど多くの史料
が保存されていて貴重です。
 建物は、久子さんの長女角南蓉子さんの歴史的建造物に対する高い見識により、素晴らし
い修復が行われました。
         


島薗邸外観

 
      庭から見た外観                      軒周りの装飾


玄関。横の壁面をバラが飾る。

 
            ディーレと呼ばれる部屋から玄関を見る     医学書がぎっしりつまった書斎


                              食堂兼居間

 
    島薗家の方々

後日譚
 この島薗邸から徒歩10分ほどのところに、かつて父上の島薗順次郎邸があったことは、残されている図面などか
らわかっていましたが、その場所にある建物が解体されるということで、「たてもの応援団」のメンバーが見に行ったと
ころ、改造されていたものの島薗順次郎邸であることが分かりました。この時、照明器具などは取り外されてすでに
古道具屋さんの手に渡っていました。
 島薗さんに連絡し、応援団メンバーがその古道具屋さんを探しだし、島薗さんは危機一髪のところで2つの照明器
具を買い戻したのです。それは、古い図面にあるデザインと同じでした。父上の家の照明が今、長男の家の照明とし
て蘇ったのです。

      
    ディーレ(玄関の間)に取り付けられた照明  食堂に取り付けられたシャンデリア。
                                電球の笠は雲母。


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矢部又吉の銀行建築
矢部又吉の銀行建築
2001 in島薗邸
2001 in島薗邸