福士邸(旧辻男爵邸)
<2013年9月取り壊し>

  たてもの応援団が発足する以前に、有志で調査をさせていただいた思い出深い建物。
本郷3丁目にある福士邸は高い塀越しにヒマラヤ杉と洋館の一部が望めますが、明治5年頃に
建てられた和館、その奥に明治6年頃と推定されるベランダのある洋館、表側には明治41年に
文部官僚辻新次が爵位(男爵)を賜った記念に建てたというドイツ風の洋館がある。
 ちなみに洋画家野口弥太郎は辻新次の孫で、このお屋敷で生まれた。

  病理学者福士政一博士は、西片町に住んでいましたが、当時の西片町は車の利用が不便
なため(いちいち交番に届け出なければならなかった)、大正15年、関東大震災の被害で荒れ
果てていたこの邸宅を気に入って購入しました。
 和館の玄関は西片町の家と同じものを、後からはめ込んだそうです。

  
   塀越しに見える洋館の玄関                      明治末期の洋館の中庭側の軒周りの装飾

◆福士邸の奥にある洋館は1996年8月に一部解体され、部材は移築先が見つかるまで福士家で保管しています。
解体に先立って行われた調査では、天井の下張りに明治初期の図面や明治6年の日付のある大学南校(東大の前
身)の便箋などが貼られていました。

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