東大の向かいの住宅地から言問通りを渡ると西片町に入る。備後福山藩主11万石・阿部
候の屋敷地を明治になってから住宅地として分譲したところ、東大が近いことから学者や官吏
が多く住み、学者町といわれた。

◆田口卯吉は安政2年に幕府の御家人の子として生まれ、明治10年に日本文明開化を自由主義の立場から叙述し
た「日本開化小史」によって文名を高めた思想家。明治12年、英国の「ECONOMIST」をモデルに「東京経済雑誌」を
創刊。合理的根拠に基づいた経済的思考の必要を啓蒙した。

◆かつては田口邸に隣接して明治16年竣工の木村熊二邸の洋館があった。（昭和40年解体）木村熊二は、羽仁も
と子、相馬黒光、野上弥生子らを輩出した明治女学校の創立者で、熊二夫人の鐙子は田口卯吉の姉。

◆平野邸の向かいの角には、堀口捨己が設計した小出邸があったが、現在は小金井の「江戸東京たてもの園」に
移築され、内部の見学も出来る。