東京都史跡 駒込名主屋敷

東京都指定史跡 駒込名主屋敷

建物の特徴

 藥医門(やくいもん)形式の「表門」をくぐると、奥に「主屋」と「土蔵」、大正末期に増築された「離れ」があります。
前庭の脇にある洋館は、昭和初期に接客用として建てられました。主庭の隅には、駒込名主屋敷より不忍通りへ下る「稲荷坂」の由来となったお稲荷様が祀られています。
 主屋は、宝永年間の創建で火災により享保2年(1717)に再建されたと伝えられています。門など含めた屋敷構えが江戸中期の規模をよく保っていることから、昭和27年に東京都史跡に指定されました。
 主屋玄関には式台が付いています。寄付(ゲンカン)から西が座敷(オクノヘヤ)のある接客空間で、東及び北側が日常の生活空間となっています。大正末期には、土間に内玄関や床張りの台所を設け、2階に座敷を造るなどの改修が行われましたが、構造は旧状を維持しています。特にオクノヘヤは材料が古く、書院障子や欄間の意匠にも古い様式が残されています。


建物の概要

所在地:文京区本駒込3-40-3

主屋の概要
規模 :桁行9.5間(17.29m)×梁間4間(7.28m)
構造 :木造2階建て 軒廻り出桁造り
基礎 :石場建て
屋根 :桟瓦葺き
    (東側)入母屋造り(西側)寄棟造り
壁  :下見板張り、漆喰塗り

★通年、前庭からの外観を見学できます。


駒込名主屋敷とたてもの応援団

 東京都史跡 駒込名主屋敷(高木家)は、『新編武蔵野風土記稿』に記されているように、江戸初期にはこの地に土着したと伝えられています。この屋敷の隣の天祖神社の本殿裏に高木将監の名前が彫られた慶安元(1648)年の石碑があることからも、17世紀半ばには、この地の有力者のひとりだったことがわかります。
 現在の敷地には、薬医門、主屋、蔵、離れ、洋館、お稲荷さんが配され、江戸~昭和の変遷や地域の歴史もうかがえます。
 2013(平成25)年、当主の高木氏より今後の恒久的保存のための協力要請があり、具体的な保存活用の検討をはじめました。2014(平成26)年にNPO法人歴史建築保存再生研究所の助成金を受け、実測調査・文献調査・聞き取り調査・活用計画調査等を行い、2015(平成27)年3月に報告書が完成しました。その後、たてもの応援団ではお掃除会や見学会などのイベントを実施しています。
 また駒込地域に関して地域の皆さんと学ぶために、有志で「駒込環境保存会」を結成し、平成30年度には、公益財団法人松井角平記念財団の助成による駒込名主屋敷の追加調査(離れ、洋館)と、シンポジウム「駒込の植木屋文化と名主屋敷」を実施しました。

フォトギャラリー

※すべての画像の無断転載を固く禁じます

写真 1,2,3,4,5,8,9,10 :山村咲子
6,7 :渡邉美樹